生前退位
政府の「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」(座長=今井敬・経団連名誉会長)は21日、天皇陛下の退位に向けた最終報告をとりまとめ、安倍首相に提出した。
退位後の天皇を「上皇陛下」と呼び、象徴や権威の二重化を回避するため公的行為をすべて新天皇に譲ることが「適切」と明記した。皇族減少対策の検討も求めた。政府は最終報告を踏まえ、退位を実現する特例法案を今国会で成立させる方針だ。5月19日の閣議決定、国会提出を目指している。
退位後は「上皇」「上皇后」…有識者最終報告:政治:読売新聞(YOMIURI ONLINE)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20170421-OYT1T50136.html
2016年8月8日天皇陛下のおことば以来、「天皇陛下の生前退位」についてはニュースでもよく取り上げられてきました。
この度、退位された後の呼称を「上皇」とする方針で大筋が決まったようです。
皇族の呼称
ところで、皇族の方がテレビのニュースなどで取り上げられる際、「秋篠宮さま」「愛子さま」などと表現されていますが、正式には「秋篠宮親王殿下」「愛子内親王殿下」という呼称になります。
皇族の男性|親王
皇族の女性|内親王
敬称|殿下
ですので、皇族の方々の呼称は次のようになります。
天皇陛下 皇后陛下
(天皇皇后両陛下とも言う)
皇太子殿下 皇太子妃殿下
(皇太子同妃両殿下とも言う)
愛子内親王殿下
(秋篠宮)文仁親王殿下
(秋篠宮)文仁親王妃紀子殿下
眞子内親王殿下
佳子内親王殿下
悠仁親王殿下
普段あまり使われないので、知っていると友達に自慢できるかもしれません。
現在の天皇陛下のことを「今上天皇(きんじょう)」と言い、呼称と合わせて「今上陛下」「天皇陛下」です。
「今上天皇陛下」とは言わないので注意が必要です。
天皇陛下が亡くなられることは「崩御」と言います。
また、各メディアでは「生前退位」と表現されていますが、「退位」ではなく「譲位」の方が適切であるという考えもあるようです。
ちなみに、産経新聞は「譲位」という表現を用いています。
天皇とは?
天皇は、国民のため祈られる
さて、私たち一般人にとっては天皇と身近に接する機会はめったにありませんが、天皇とはいったいどのような存在なのでしょうか?
江戸時代の光格天皇(こうかくてんのう、1771年9月23日 – 1840年12月11日)の歌に次のようなものがあります。
身のかひは 何を祈らず 朝な夕な 民安かれと 思ふばかりぞ
私なりに現代語訳すると、「自分のことは何も祈りません。朝に夕に、国民が安らかに生活できるようにと思うばかりです。」となります。
この歌からは国民の平安を祈り続けている光格天皇のご様子がうかがえます。

また、昭和天皇は日本が第二次世界大戦で敗れた後、マッカーサー元帥と面会した際に次のようなことをおっしゃったそうです。
「私はどうなってもいい、国民が助かれば。それから国民の餓死を救うためにアメリカからの食糧援助をお願いしたい。皇室の財産をその費用にあててください」
(『道徳の教科書 善く生きるための七十の話』(渡邊毅著)より)
ご自身のことよりも国民の事を案ずる昭和天皇の姿に、マッカーサー元帥も驚いたそうです。
一般参賀
昨年12月23日、天皇誕生日に一般参賀へ行きました。
(一般参賀とは、一般の方が皇室の方々とお会いすることができる皇室の行事で、年に2回だけ行われます。詳しくは宮内庁HPをご覧ください。)
この時の参列客は延べ3万8千人だったそうで、皇室の方々がお出ましになられる時はみんなで日の丸を振っていました。こんなにも大勢の人が天皇陛下に一目お会いしようと集まったというのですから、その人望の厚さをうかがい知ることができたように感じます。
この日の天皇陛下のおことばは、東日本大震災や熊本地震の被害に遭われた方への労いや、日本国民の平安を願うという趣旨でした。
今も昔も、天皇は国民の平和や幸福を祈り続けていらっしゃるのですね。
私たちが神社にお参りした時に神様にお願いすることと言えば、「商売繁盛」「志望校合格」「結婚」「家内安全」というような、個人や家庭次元の内容が多いと思います。
しかし、天皇は全国民のために神様に祈り続けてくださっているというのですから、そのような方がいらっしゃるということは、ありがたいことですね。
利他的な宗教心
昔から日本人の心には、自分を犠牲にしても他人を思いやることを美徳とするところがあると思います。
天皇はそんな日本人の良心を代弁するような存在なのではないでしょうか。
幼児虐待やテロなど、毎日のように心痛むニュースが耳に入ってきますが、日本国の象徴である天皇と同じように、日本国民がお互いを思いやり、お互いの平安を祈り合う日が来るならば、必ずや平和な社会が訪れると信じています。
今一度、宗教心、利他的な心の大切さに目を向けて行きたいものです。
(総務担当H)