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「マインド・コントロール」という言葉と向き合う

time 2012/02/28


最近、さまざまなメディアを通して、「洗脳」や「マインド・コントロール」という言葉をよく聞きます。

きっかけは、皆さんもよくご存じだと思いますが、ある霊能者が人気タレントのオセロ・中島知子さんを「洗脳」し、「マインド・コントロール」しているという報道がなされていることにあります。

この件に関して「洗脳」や「マインド・コントロール」という言葉が使われることに対しては疑問を感じざるを得ません。

 

そもそも、「洗脳」や「マインド・コントロール」というものは科学的な根拠のある理論ではありません。

「洗脳」というものは、物理的監禁や拷問、薬物、電気ショックを含めた強制的な方法で人の信念体系を変える手法だと言われていますが、その有効性に関しては多くの研究の中で否定されています。研究報告では、「(洗脳は)一時的な行動上の服従しかもたらさない」という結論が出ています。(参照:R・J・リフトン「思想改造の心理」)

一方、「マインド・コントロール」は、「洗脳」とは違い、身体的な拘束や拷問、薬物などを用いなくても、日常的な説得技術の積み重ねにより、しかも本人に自分がコントロールされていることを気付かせることなく、強力な影響力を発揮して個人の信念を変革させてしまう手法であると言われています。しかし、この「マインド・コントロール」理論は、アメリカの心理学会で、「科学的な裏付けを欠いている」として否定されています。また、法廷においても「マインド・コントロール」理論が認められたことはありません。極端に言うと、「マインド・コントロール」理論が成り立つならば、どんな事件でも「マインド・コントロールされていた」の一言で終わってしまう可能性もあるのです。

「マインド・コントロール」の言葉の使用に関して、宗教学者の島田裕巳氏は以下のように述べています。

洗脳は可能なのか?(アゴラ)

「洗脳ということば自体、比喩的な表現であり、実際に脳を洗うわけではない。その点で、いったい洗脳がどういったことなのかかなり曖昧な部分を含んでいるが、マインドコントロールとなるとさらに概念としての明確さに欠けている。・・・霊能者ということばに引きずられて、これをカルトやマインドコントロールの問題としてとらえるのは、実態からずれていく危険性がある。おそらくこれは、中島さんのこころの問題であり、あるいは霊能者のこころの問題なのである。」(抜粋)

 

このように島田氏は、あいまいな理念である「洗脳」および「マインド・コントロール」の使用についての問題点を訴えています。

「洗脳」や「マインド・コントロール」というものは、科学的に根拠のある理論ではありません。学術的に認められたことも、法廷で認められたこともありません。科学的な根拠もなく、真実を見えなくするような言葉を各メディアが発信していることは非常に憂慮する事態であると感じますが、事実として「マインド・コントロール」という言葉が日本社会で再度、氾濫していることを見ると、我々はもう一度この言葉と向き合う時を迎えていると考えます。

W-CARP JAPANにおきましても、昨年「カルト対策についての論文」を募集し、審査結果を発表しました。われわれは、「カルト」は差別的な言葉であり、レッテル張りによるいじめだと思っています。その「カルト」という言葉を支えているのが「マインド・コントロール」理論です。

今再び、メディアにこの言葉が氾濫し始めたならば、もう一度この言葉と向き合い、しっかりと議論すべきと考えます。

 

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